トップメッセージ
平素は格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、社会・経済活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢や円安を背景に、原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響が残るなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループ(当社および子会社)の需要先である建設業界では、公共事業については、「国土強靭化」や「防災・減災」などの重点施策に予算が配分され、コスト高騰に対する価格転嫁も進んだことなどから好調に推移しました。一方、民間建設投資については、住宅市場における2023年の新設住宅着工戸数が3年ぶりに減少したものの、堅調な企業の設備投資意欲などを背景に底堅く推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、販売部門においては、現場の省力化や生産性向上のためのプレキャスト化を訴求すべく、役所や建設コンサルタントに向けた提案営業や新規顧客開拓を鋭意推進し、受注獲得に努めてまいりました。また、開発・設計部門の支援による3次元データ等のデジタル技術を駆使しながら、高付加価値製品の拡販や難易度の高い特注物件の受注にも注力いたしました。加えて、原材料価格やエネルギーコストの高騰に対処すべく、販売価格の適正化にも取り組んでまいりました。
一方、生産部門においても、原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響を抑制すべく、生産性の向上をより一層推進し、協力会社との連携も強化しながらさらなる原価の低減を推し進めるなど、グループ一丸となって収益の向上に努めてまいりました。
また、地域戦略として、東日本地区における土木資材製品の拡販によるシェア獲得に努めるとともに、連結子会社の葉月工業株式会社(鹿児島県鹿児島市)との連携により、九州地区における本格的な事業展開に向け検討を進めてまいりました。加えて、優れた耐久性・安全性に加え、既存の工法にない排水機能をもつ補強土擁壁工法「スリットウォール工法」を事業譲受し、山間部や宅地造成等の法面や盛土の安全・安心確保に向けた提案工法として全国展開すべく対応を進めてまいりました。さらには、脱炭素化についても重要な経営課題と位置づけ、2023年4月に新設の「サステナビリティ推進室」を中心とした取組みを加速化すべく、カーボンニュートラルに向けた低炭素型素材・製品の開発や再生可能エネルギーの導入など、具体的な施策を推し進めてまいりました。
今後のわが国の経済情勢は、緩やかな回復基調が維持すると予想されるものの、不安定な国際情勢や円安の持続を起因とする原材料価格やエネルギー価格の高騰が懸念されるなど、引続き不透明な状況で推移するものと予想されます。一方、当社グループの需要先である建設業界においては、官需、民需ともに引続き堅調に推移するものと見込まれます。
このような状況のなか、当社グループは、「サステナビリティ」を経営課題の中核に掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の基盤ともいえる「三方よし」の精神をグループ全体に浸透させながら、基本戦略である「収益性向上」「サステナビリティ取組み加速化」「人的資本活性化」に鋭意取組んでまいります。
具体的には、国の進める「国土強靭化」を始め、「防災・減災」「流域治水」「維持・補修」などの重点テーマや建設現場の生産性向上へのソリューションとして、プレキャスト化のメリットをユーザーに訴求しながら地域の需要や特性に応じた提案を推し進めるとともに、当社オリジナルのカスタマイズ技術を駆使した高付加価値の製品・工法の開発と拡販に注力し、シェアおよび収益の拡大を目指してまいります。また、需要ボリュームの大きい関東地区における販売拡大や、連結子会社の葉月工業株式会社を起点とした法面保護補修事業の拡大ならびに九州地区での当社事業の早期展開を目指してまいります。加えて、今後も予想される原材料価格やエネルギーコストの高騰への対策として、生産部門を始めとするあらゆる部門で管理強化と効率化によるコスト低減を図るとともに、販売価格の適正化も推し進めることで、利益の創出を図ってまいります。
サステナビリティへの取組みについては、「サステナビリティ推進室」が中心となり、脱炭素型製品の開発・生産・販売を始め、再生可能エネルギーの採用やブルーカーボンへの取組み等を推し進め、2040年までのカーボンニュートラル実現を目指すとともに、ウェルビーイングやBCP(事業継続計画)およびコンプライアンス等の拡充にも注力することで、当社グループの持続可能性も高めながら、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
また、当社は人的資本の活性化がグループ全体の持続的成長に不可欠であると認識しており、社員一人ひとりの能力開発・成長により生産性向上を促進すべく、女性社員の活躍推進を始め、教育・研修の充実や健康経営への取組み強化、リスキリングの促進等を通じて、成長戦略を具現化してまいります。
一方、東京証券取引所より要請の「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」についても重要な経営課題のひとつと位置づけ、現在策定中の中長期経営計画における成長戦略に基づき持続的に収益性を高めていくとともに、株主還元の充実ならびにステークホルダーとの対話を一層拡充することで、ROE(自己資本利益率)およびPBR(株価純資産倍率)の向上に努めてまいります。また、企業提携基本契約を締結中の積水樹脂株式会社との関係も、経営の独立性は維持しつつも、お互いの事業上の強みを活かしながらパートナーシップの強化を図り、企業グループ全体の成長に寄与してまいります。
以上のような施策を当社グループが一丸となって取組むことで、中長期的な企業価値向上と持続的成長を図りながら、経営理念である「美しく豊かな環境づくり」の実現に向けて鋭意挑戦してまいります。
株主の皆様におかれましては、なにとぞ格別のご理解をいただき、今後ともより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2024年6月